ジェームズ・ドレイク演じる「医師(Physician)」――名前があるのだが、オーディー・マーフィーはこう呼ぶ――との会話もユニークで、この時期の西部劇でもうこれをやっているのか、と驚く。これ、というのは「一見すると相反する存在が実は同根」というテーマに踏み込むことで、John Gantは「医師」と「判事(Judge)」を比較しながら「They have the power of life and death」などと言ったりするのだ。もちろんその「They」には殺し屋である自分も含まれているのだが、だとすればラストで彼が食らう一撃には作者たちの寓意がこめられているのかもしれない。いや、ただならぬ傑作です。