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アレックス STRAIGHT CUTのfmのネタバレレビュー・内容・結末

アレックス STRAIGHT CUT(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

そもそもビデオで観た人なら必ずやるであろう時系列の整理を、監督自ら悪意を持って実施した作品。
オリジナルは暴行事件を逆に再生するとどうなるか、という一発ネタなのだが、順だろうが逆だろうが禍々しさの強度が揺るがない。
エログロナンセンスからナンセンス成分が目減りした程度で、むしろこっちのほうがキツイ。

台詞は役者の即興とのことだが、すべてが裏目に出てしまい、徹底的に取り返しがつかぬよう、丹念にフリオチが施されている。
とくに、全編ゆらゆらしたカメラワークなのに、わざわざ地下道の看板だけはしっかりと映す辺り、非常に性質が悪い。

同性愛、警官、他人種に対するフォビアがフルスロットで流される。
ハッテン場にて、「フィストファック!フィストファック!俺にフィストファックしてくれよお!」ってなんやねん、それ。

そもそもなぜこんな露悪的な映画をギャスパー・ノエは撮り続けるのか。
登場人物が教えてくれる。
「世の中に悪行などない。行為があるだけだ。皆ルシファー(悪魔)だ」
ギャスパー・ノエはただ挑発する。
我々はただ目撃する。
時が破壊してくれるまで、この不快感は続く。
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