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The Adventures of the Three Reporters(英題)のoのレビュー・感想・評価

4.3
ヴィヴィアン・メンドと彼女を慕う3人の新聞記者が、ボリシェヴィキの国に対して敵意を持った組織の陰謀に気付き、それを防ごうと奮闘する話。

アクションに凝っていて、序盤だけでも
窓から飛び降りる、
警官の追跡から全力疾走で逃げる、
高い塀の上に跳び上がる、
水に飛び込む(意味もなく空中で一回転して飛び込む)、
走行中の車に飛び乗るといった場面がテンポ良く続く。

しかしアクション一辺倒ではなく、上のシーンの後には、嵐で揺れる船を舞台にした不安漂うシーン、大勢の喪服の参列者が白い階段を静かに昇る沈痛なシーンなどが続き、長尺の作品だけど抑揚のある編集で単調さを全く感じさせない。

酒場のジャズバンドの陽気な演奏、狭い入口から射すわずかな細い光以外は真っ暗な暗室での緊張感溢れる銃撃戦、可愛らしいストリートチルドレンの活躍など見所が満載。

3人の記者の中でホプキンス(イゴール・イリンスキー)が一番コミカルな役柄。
ずぶ濡れのヴィヴィアン・メンドのために自分が着ている服を貸したが、裸で1人で取り残されて帰れなくなってしまう。
突然何かひらめいた表情になり、身体中に炭を塗り(着衣のカモフラージュ?)、残されたシャツで下半身を隠し、上半身は裸にネクタイと帽子だけで、杖を振り回しながら街の雑踏を通り過ぎて無事帰宅に成功する。


レフ・クレショフ監督の『ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険』(1924年)に似ていて、
タイトル(adventures)、キャスト(ウラジミール・フォーゲル、ボリス・バルネット)、あらすじ(ボリシェヴィキは不当な汚名を着せられるが最終的に勧善懲悪が実現される)、そして活劇的な演出が共通。

でも『ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険』について次のような作品紹介があり、クレショフは映画制作から遠ざかったのに対して、ボリス・バルネットがこの映画を含めて活劇的作品を作り続けられたことが不思議。
「この映画は、当時、世界に流布されていた反ソ宣伝に反撃を加える諷刺劇だが、随所にアメリカ活劇映画の影響が見てとれる。この点は批判の対象となり、クレショフ自身「不用意にも自分たちの仕事の中にブルジョワ芸術の要素を導き入れてしまった」と自己批判した。このことは、やがて、ソビエトの映画行政との間に不和を生み出すもとともなって、クレショフを実作から遠避け、人生の後半を映画大学の教授として過させることともなった。しかしながら、この作品の持つ斬新さと、映画ならではの躍動感は、今日なお新鮮であり、映画史上の偉大な作品のひとつに数え上げることができよう。」
(ロシア映画社、http://www.saturn.dti.ne.jp/~rus-eiga/arc/films/b/bolshev/index.htm)
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