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ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカットのチーズマンのレビュー・感想・評価

4.0
ジョス・ウェドン版とここまで違うとは、ほとんど別の作品にすら感じましたね。
その上で比べてみると、どちらもそれぞれ目指してる方向性が違うので、それぞれのバージョンの面白さの部分も実はそこまで被っていないような気がして一概にスナイダー・カットの方が上というものでもないのかなと思いました。
要は最初にも言ったように、もはやそれぞれ別の作品なんだということです。

で、このスナイダー・カット版はというと当然ながらいつも以上にザック・スナイダー監督の原液100%が注がれているような映像で、監督降板してしまう前の本来あの時に期待していた通りのやつがやっと観れたっぽいぞという感じでした。
映像のトーンから何からやり直したって感じでしたね。

ヒーロー映画の割にほとんど一般市民というものが出てこないところも、いかにもザック・スナイダー監督らしくて、神々の戦いを存分に描いてやったぜ感がありましたね。

もちろん作品の長さもスナイダー爆発してるなあと思いました。

つい最近のスナイダー作品である『アーミー・オブ・ザ ・デッド』では「上映時間長くね…?」と思ったんですが、この『ジャスティス・リーグ』の場合は逆にこの4時間という長さが必要な作品だったと思います。
作品の世界観の中においても、はたまた現実のDC映画シリーズのユニバース化戦略の中においても、とにかく急ごしらえで結成されたこのスーパーヒーローチームを、観客側がしっかり“チーム”なんだと思い入れて楽しむのには積み重ねたエピソードと時間が必要なんです。

ジョス・ウェドン版では様々なトラブルや制作期間や予算の関係から、中途半端にしか描けないぐらいならとバッサリと、チームの“過程”を最低限ですっ飛ばして、ヒーロー映画のアクションシーンなど快楽的な部分つまり“結果”だけに注力してなんとか仕上げるという選択で、これはこれでアリです。

しかし、ちゃんとヒーロー達がチームになっていく過程を描こうとしたら、30分や1時間の追加では不十分で、もしやるならばたっぷり倍の時間をかけるしかないという今回のスナイダー・カット版はこれで正解だったと思います。

おかげでジョス・ウェドン版のような一応万人に向けてのヒーロー映画要素はぐんと減り、好き嫌いが分かれる、というよりスナイダー作品が好きな人だけが観る作品になっていると思いますが、そもそもスナイダー・カット版が観たいという署名運動から始まった筋としては全然それでいいのです。
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