たく

モキシー ~私たちのムーブメント~のたくのレビュー・感想・評価

3.9
内気な女子高生が、白人男子による校内の女性差別に対して偽名を使って抗っていく話に胸が熱くなった。高校生活にアメリカの差別社会の要素を詰め込んだ縮図みたいな感じで、フェミニズム色が強くイデオロギーに傾きがちなところを、周囲とぶつかりながら少女の成長を描く普遍的で爽やかな青春物語に仕立てるバランスが上手いね。

新学期の初日から学内でランク付けが始まるスクールカーストの残酷な展開に始まり、「従順な女」にランク付けされるヴィヴィアンが、転校生のルーシーのイケメンクソ男子ミッチェルに対する毅然とした態度に内なる声を呼び覚まされる感じが良かった。ルーシーはヴィヴィアンの母親と重なるキャラとして描かれてて、母親の言うことは素直に聞けないけど他人だからこそ惹かれるっていうのがアルアル。
親友のクラウディアが大人の色気漂う美貌なのに自覚が無い感じがすごく魅力的で、モキシー運動に参加したいけどアジア系という人種的な背景から躊躇してしまうジレンマに泣ける。ある意味彼女が一番勇気ある行動を取ったのかも。
校内で起きてる問題を直視しようとしない女校長がまあ胸糞悪くて、それに対してヴィヴィアンを暖かく見守るセスがとにかく理想的な男なのは、監督の願望の現れなのかもと思った。

監督・出演のエイミー・ポーラーは「インサイドヘッド」のヨロコビの声優を演じてて、全くイメージが繋がらない。ヒール役として登場するパトリック・シュワルツネガーは「ダニエル」の予告で初めて知って、父親のアーノルド・シュワルツェネッガーの面影が濃厚だったね。
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