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14歳の栞のdxdxdのレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.1
古傷を抉ってくる映画だった。
頼むからあの頃のダサい自分を思い出させないでくれ!

是枝監督の「もう一つの教育〜伊那小学校春組の記録〜」、カンテレで放送され劇場でも上映された「みんなの学校」など、いろいろ学校にまつわるドキュメンタリーはあれど、本作はそのどれとも違う。

他の学校ドキュメンタリーは特殊な背景を抱えていたり、特別な指導要領を実施している学校を追っているが、本作は”普通”の中学の”普通”の生徒たちを追っている。いわば、リアル版中学生日記であり、タイトル通り14歳のある時点に栞を挟み、それぞれの人生の一部を読んでいるようだった。
しかもクラスの35人全員に焦点を当てており、とんでもない作り方をしている。

ただ、こんな作り方でドキュメンタリーとして相当見づらいのではと思ったが、
CMやyoutubeコンテンツを多く手がけてきた竹林監督によって、
編集のつなぎ方も音楽の入れ方も非常にアップテンポな作りにより、
とても奇妙なバランスのドキュメンタリーになっていた。
また、全編発言がテロップフォローされており、この辺りとかyoutubeっぽいなあと思った。
聴覚障害の方向けの意図かもしれないけど、youtubeは見慣れているけど映画はあまり観ない若者に観てほしいからこういう編集をしているのかとも思った。

当たり前だけど、35人皆それぞれに好きな事、悩みがある。
ひょうきんな子、バスケの県選抜だけどケガして2ヶ月練習できない子、
無口な子、学校に来れなくなった子、宇宙を研究したい子、
友人と距離を置きたい子…十人十色どころか三十五人三十五色だった。

あと、生徒たちの何気ない一言が記憶に残った。
ひょうきんで陽キャの権化みたいな子の「面白いことはしたいけど、相手が嫌がることがやらないよ」とか、女の子の「ださくてチャラい大人になりたくない」とか。パン屋の近くを通りかかって「いい匂いがするなあ、新しくパン屋が出来たのか」「あそこのパン屋5個買うと、無料でクロワッサンついてくるんだ」とか。

インタビューで紡がれる言葉が大人っぽくて、おじさんみたいな言い方をするとみんな若いのにしっかりしている。俺しっかりしてんのかな。

ただ、集団で戯れている時は子供性MAXで、観ていてあの頃を思い出して恥ずかしくなった。
中学時代、教室で暴走族ごっことかしてはしゃいでたな。ちなみに自分はバイク役だった。エンジンふかす音の口真似、結構頑張っていた気がする。

そういう意味でも子供と大人の間で揺らぐ、まさに思春期の1ページを切り取っていた。
もし、生徒の皆が許してくれるなら、14年後の彼らの姿を追った「28歳の栞」とか観たいな。彼らの人生続いていくし、赤の他人ながらその続きが気になる。そんな映画だった。
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