髙

14歳の栞の髙のレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
-
あの日あの時のあの人の隙間が埋まっていくような体験というよりも、当時の自分の視野が狭すぎるがゆえに、出てくる人たち各々に自身の影をみるという体験だった。まぁそれさえもカメラに映されていたけれど。
だから、彼らを映し出すカメラがまるでこちらに向いているように感じてきて、最終的に自身の今、その時について目を向けてしまう逆転。
同じ映像を違う人物を主人公に見ることで、まさに自分が見逃していた景色を体験できる作りがすごい。お前、確かにそこにいたんだな!という。
映画的な盛り上がりを期待してしまう序盤と、進んでいく映画の肩透かしな感じもまさに、自身の日常だったと思う。
平野啓一郎の顔のない裸体たちを少し想起した。もちろんネガティブな意味ではなく。
髙