せいけ

PASSING -白い黒人-のせいけのネタバレレビュー・内容・結末

PASSING -白い黒人-(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

モノクロのスタンダードという単純に映像から得られる情報量を削ぎ落とすことで奥行きを表現したまさに映画らしい映画
視線の交差、階段を使った演出も秀逸
白人としても“通用する”肌の色を持った黒人という複雑な人種
はっきり二分化できるものではないものを敢えて単純な情報量で描いて繊細な何かを紡ぎ出していく演出力と構成力に唸らされた
黒人の中でも人種問題に対するスタンスは当然だけど千差万別であれだけ気高さをまとったアイリーンがそこから目を背けようとする存在なのが興味深くてある意味人間らしい
執拗に安全という言葉を繰り返すことから起きてしまった出来事
変化を遠ざけ、問題を先送りにしてしまったことへの報いなのか、ある意味この世界の構造から降りられた解放なのか
余韻の残るラストも素晴らしい