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赤と黒の十字架のmhのレビュー・感想・評価

赤と黒の十字架(1983年製作の映画)
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DVD化されてない豪華キャストのテレビ映画。
ヴァチカンに逃げ込んできた4,000人以上の命を救った険邪聖省(元は異端審問。いまは教理省)に所属していたヒュー・オフラハティ司祭についての物語。自ら危険を顧みず大勢の命を救ったオスカーシンドラー系の人物。
元アイルランド出身者で征服者が嫌い。ゴルフ、ボクシングの才能があるなどもプロットして組み込んであった。
ナチスドイツによるイタリア・ローマ占領を、バチカン視点で描くという設定がレアでありがたい。
フランス・パリを占領していたドイツ国防軍のコルティッツ将軍は「パリは燃えているか?」「パリよ永遠に」に登場するので知ってたけど、この映画に出てくるナチス親衛隊ヘルベルト・カプラー大佐は初見だった。彼はローマにおけるゲシュタポ長官も兼ねていたとのこと。
作中に登場するファシスト秘密警察というのは、元黒シャツ隊という理解で大丈夫っぽい。
グレゴリーペックがあのローマで活動しているというのもわくわくするものがあるし、尼僧姿を含めたコスプレしてるのも楽しかった。
思わず熱くなったのは、
・黒シャツ隊のみなさんが、司教の銃殺を拒んだところ。
・司祭が家族を逃がしてくれたことを知って、どんな手段を使ったのか白状すれば罪が軽くなるといわれても大佐がすっとぼけたところ。
Wikipediaによれば、戦後はドイツ兵たちを逃がすことに注力したとのこと。
作中、近道するためゲットーを通るかみたいなセリフがある。
「ローマ ゲットー」でググると、ナポレオンによって解放とある。いまは観光名所だ。ユダヤ人を隔離するためという目的は同じでも、ナチスドイツが復活させたそれとは性質が違うものみたいでまぎらわしい。
ヨーロッパのユダヤ人たちは思った以上に長く反ユダヤ主義にさらされながら生きてきたってことなんだろうね。
同じ背景を持つ映画「裂けた鉤十字/ローマの最も長い一日」では、カプラー大佐がおこなった、フォッセ・アルデアティーネの虐殺もフォローしているとのことなので、近く見るつもり。
この手の映画は陰惨でシリアスなものが多いんだけど、元がテレビ映画のせいか、どことなくユーモラスで最後まで明るかった。
視聴困難になってるのがもったいないと思った。
面白かった!

余談。
作品データがfilmarksにないのでリクエストした。十日で反映された!
前は二ヶ月かかったのに早かった。
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