モモモ

悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズのモモモのレビュー・感想・評価

4.2
「1作目の続編」様式を「悪魔のいけにえ」で。
大傑作!とまではいかないが、久方振りに胸糞の悪い正真正銘の「悪魔のいけにえ」を観れて満足した。
「ハロウィンと同じ構成じゃん」と言及されるのを避けたのか、それとも「悪魔のいけにえ」の忠実な続編だからなのか、まるでカタルシスも救済も無い無情な展開を、無駄なく刈り込み80分台にまとめ上げた「情緒的になれない」ホラー映画。
銃乱射から生き延びた「サバイバー」である妹、彼女を守ろうとする中で今回の惨劇を「サバイブしていく」姉、そして「悪魔のいけにえ」から生き延びた「サバイバー」の「ファイナルガールズ」達の奮闘劇。
感情移入する間もなく、愛着を抱く余裕もなく、人が矢継ぎ早に、生々しさを保ちながらも「物の様に」死んでいくのは正に「悪魔のいけにえ」の初見時の感覚を思い起こさせてくれる。
股間をチェンソーで貫いての残虐ペニスメタファー、窓から脱出失敗両断、と急激に知性と品が低下する「バス大虐殺」に監督の作家性が出ていたのではないだろうか。
スケアジャンプを極力避けた「そこにいる」重々しく鈍さすらあるホラー演出が良い。
三幕目での「駆け回るレザーフェイス」には懐かしさすら覚えた。
ドアを使ったあの名シーンをオマージュした段階で「これオチもやっぱり…」と不安になってはいたのだが。
意味ありげに映していた「名刺」や「ライフル銃」がまるで意味を成さなかった中で「自動運転」だけ伏線として機能するとは…近年の傑作ホラーの主流から敢えて外したであろうオチを僕は肯定したいです…。
「ここで逃げてはダメだ」と説きながらも「暴力に暴力で抗った時点で終わり」だと付け足された様な「そんな事言ったら最初から詰んでただろうが!」な展開を余韻に浸からせる隙も与えずに叩き込む忘れ難いラストシーン。
逃げ果せて「笑っていた」女性が、銃を撃ち敵を追い詰め「笑っている」姿にガッツポーズをしていてはいけない。何故ならこの映画は「悪魔のいけにえ」の続編なのだから。
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