短評。予想は超えてこないが、しっかりしたアメリカ映画でした。テイラーシェリダンの切れ味を、やけに緩い娯楽性が薄めていて、ちょうど「ボーダーライン:ソルジャーズデイ」くらいな塩梅。
・ウインドリバー同様、現代のアメリカに西部劇を蘇らせるため「法の及ばない程厳しい自然=アメリカの原風景」という舞台設定を敷いている。2度繰り返される「I hate this place」。
・車で荒野を走っている時に一旦止まって、また走り出すのはボーダーラインでもやってた演出。ここで「馬とのお別れ」シーンを入れているから、流石に現代に馬は出せないのかなと思ったら…後半しっかり活躍する。
わざわざ四輪バギー→バイク→馬の順番で納屋を写して、この瞬間だけ西部劇に時代が戻るワクワクを煽っている。西部劇に興味ない観客に、この一手間が伝わっているのかどうかは正直怪しい。
・「前に進み続ける事」で希望を繋げていく、古典的とすら言えるアメリカ映画。極限状態でもアクセルを踏む親父の意地にグッと来たし「小川は川に、川は町に繋がる」のもめちゃくちゃ西部劇。川には神が宿る。
・敵がいつになくフィクショナルで間が抜けている。それはそれで楽しかったが、狙いがよく分からず。ウインドリバーのような「アメリカの醜悪さ」を背負うでもないし、昨年の大傑作ブルータルジャスティスのような底抜けの暴力でもない。
・「アンジーはトラウマによって落下する」と何度も描きながら、救助ヘリで浮上する場面を入れないのは何故?