見事なプロフェッショナル活劇。殺し屋や消防士などの仕事人はもちろん、事の始まりが殺し屋コンビが標的の会計士の判断力を見誤ったことであるように、主要登場人物が生き残るための最適手を取り続けるため観ていて気持ちいい。ゆえに狩る/狩られる側の逆転も容易に起こり得る。
平場はアップショット過多だが銃撃戦になると位置関係が明解になるし、アンジェリーナ・ジョリーとニコラス・ホルトの木を挟んだ対決や一瞬で早打ち対決に切り替わるメディナ・センゴアとエイダン・ギレンの銃撃戦など細かなアイデアが活きている。最期まで下請けゆえの疲労感を隠さないギレンが良い。
ただ『ウインド・リバー』で雪山の寒気を捉え損なったように山火事の熱気を画面に定着できていないのは不満。雷が降り注ぐ草原を駆け抜けるシーンなど、シチュエーションは良いだけにもっとサスペンスフルに腰を据えて撮ってほしいとも思った。
