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ボーはおそれているの2秒前のレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
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年明けからほんとバタバタしてて映画見てもつい感想書くのをサボってしまってるのだけど、これは本当につまらなかったし,それだけなら無視して終わりなんだけど、このつまんなさは何か根深いものな気がするので、やよい軒で飯を待ってる時間を使って言語化してみる。

まず『ミッドサマー』は貶すところから始める。あれもほんとつまんなかった。カルト教団で起こるあれやこれやが冒頭で提示された主人公の精神疾患の回復、自己セラピーに回収されるのがありえないし、悪夢的描写の数々がドラッグのメタファーでしかない、というかマジでドラッグのせいですっていう理由がつくのも正気かよって感じだった。
何よりあのカルト教団はやけに凝った飾り付けで人を殺したり、信徒の命を犠牲にした儀式を行うんだけど、それがどう恐怖に繋がるのかわからない。勝手に薬を盛ってくる人がキモいとか目の前で人が飛び降りたらビビるなんてのは当たり前の話で、じゃあこの映画がその恐怖の根源に何を用意してるのか全く説明されない。と思ったら最後、自ら生贄に志願したはずの信徒が火の中で悲鳴をあげる。つまりコイツら一人一人は集団意識とかなんやかんやでおかしくなってるだけのただの盲目な信徒で狂人でもなんでもないわけだ。な〜〜〜んだそんなことかハッハッハッハ、いい加減にしろ。
教義の暴走、システムの暴走を描きたいならラリったヒッピー集団なんかじゃなくその得体の知れないもの見せてくれ。ここには狂気について真面目に考えた痕跡がない。真面目に向き合おうともせず、奇抜なイメージ(そんなに奇抜でもないと思うが)、仰々しい音楽等で糊塗し、誤魔化している。
失敗するならそれはそれでいい。狂気や恐怖と向き合い、成功した映画なんてほんの一握りしかない。数多の失敗なくしてはそれらも存在し得なかっただろう。ただ向き合おうともせずこんなもんでよしとする映画を見ると困ってしまう。

つまりアリ・アスターとはそういうやつだというのがミッドサマーを見た段階での私の評価だった。映画なんてこんなもんでいいとする輩。それを同じく映画なんてこんなもんでいいと思っている大多数の人が拡散する。バズるのも納得だ。しかしミッドサマーを拡散してる人の中に本当にこの映画を怖いと思った人はどれだけいるのか?俺なんかが言っても意味ないが、もうこんなのを持ち上げるのはやめないか?

ツイッターでアリ・アスターが来日した時に撮ったという富士山の写真が流れてきた。「こんなに不気味な富士山は初めて見た」とのことだ。ただの富士山だった。

で、『ボーはおそれている』を見てどう評価が変わったかというと、全く変わらなかった。だからもうあまり書くことはない。母親と息子の関係ですら突き詰めて考えたとはとても思えない。あのさあ、「お前は母親離れできてない甘ちゃんだ」なんて誰だって言われれば当てはまるし誰だって言えるんだよ。それを3時間も見せられる身になってくれ。
相変わらずアリ・アスターは映画なんてこんなもんでよしとする。でもさぁ、映画ってもっと面白くてもいいんじゃないか。
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