どんな言葉も不要だと感じさせる映画は
私にとって最高の映画だ。
どんな言葉を尽くしても、
この映画が表現したものに届かないとさえ感じる、そんな映画。
そんな作品はめったにないけれど、
この映画はほぼそれに近い。
個人的に、
もともと会話劇が好きなこともあるけれど、
会話の空気まで映し出す、
映画という虚構のすべてを掬ったような
画面から一瞬も目が離せない作品に
終わってみれば圧倒されていた。
劇映画なんて、
所詮現実社会ではないのだから、
いたらいいな、という人物や
出会いたかった「なんかいい」人生を描くこともどこまでも自由なのだ。
そしてその「なんかいい」が
自分にとってぴったりとハマったのだ、今回は。
なんて繊細な、素敵な映画!
これまでなぜ濱口映画が苦手だったのか
自分でも不思議に思うほど、
この作品は私にとって完璧。
どこをとっても好きだ。
今夜、こんな感情になるなんて思いもしなかった。だから映画を観るのはやめられない。
ところで濱口監督はコントも得意なのでは?
(ご本人が作りたいと思うかは別問題)
なぜかこの作品の塚本晋也評を聞きたくなりました。(塚本監督の演出された舞台「哀しい予感」を観たときと似たような感覚になったからかな...)