caramel

偶然と想像のcaramelのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.8
どんな言葉も不要だと感じさせる映画は
私にとって最高の映画だ。

どんな言葉を尽くしても、
この映画が表現したものに届かないとさえ感じる、そんな映画。
そんな作品はめったにないけれど、
この映画はほぼそれに近い。
個人的に、
もともと会話劇が好きなこともあるけれど、
会話の空気まで映し出す、
映画という虚構のすべてを掬ったような
画面から一瞬も目が離せない作品に
終わってみれば圧倒されていた。

劇映画なんて、
所詮現実社会ではないのだから、
いたらいいな、という人物や
出会いたかった「なんかいい」人生を描くこともどこまでも自由なのだ。
そしてその「なんかいい」が
自分にとってぴったりとハマったのだ、今回は。

なんて繊細な、素敵な映画!
これまでなぜ濱口映画が苦手だったのか
自分でも不思議に思うほど、
この作品は私にとって完璧。
どこをとっても好きだ。
今夜、こんな感情になるなんて思いもしなかった。だから映画を観るのはやめられない。

ところで濱口監督はコントも得意なのでは?
(ご本人が作りたいと思うかは別問題)

なぜかこの作品の塚本晋也評を聞きたくなりました。(塚本監督の演出された舞台「哀しい予感」を観たときと似たような感覚になったからかな...)
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