うまお

偶然と想像のうまおのネタバレレビュー・内容・結末

偶然と想像(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ良かった。
ドライブ・マイ・カーより好き。
ぼくはやっぱり少しコメディ要素がある方が好きなんだと気づいた。

1話目は恋愛が前面に来るせいかあんまり合わないなぁと思ってたんだけど。2話3話ともに大好きだった。

2話目は互いが想定してなかった思惑と行動から妙な魂の邂逅をするところが、その後の悲劇も含めて素敵で。
悪意はまったくないのにささいなことで一気に悲劇に堕ちてしまうところが、哀しくも可笑しい。

3話目。人違いから始まり、友達ごっこをしてみた2人が、友達の代役であったはずなのに、救われていく姿に感動した。

思えば『役者』という仕事もそれに似ている。
例えば僕が役者だとして、僕が何かを演じたとしても、僕以外の何者かになるなんて不可能だ。
でも、見てる人間はその人自身の願望を、僕に投影してる部分があるんじゃないか。
所詮役者は願望投影するためのスクリーンのようなものなんじゃないか。
そして、それは役者の特権でもなんでもなく、人が生きる上で日常的に無意識にやってることなんじゃないか。
ならば、役者というのはその願望投影を増幅する装置でしかないのかな。
なんて思った。

話を映画に戻すと。
この3話の2人は『友達ごっこ』を経て、『他人』から、お互いに替えの効かない、何か別の関係に変化していった。
単純に『友達』とは少し違う、お互いの秘密を共有したその奇妙な関係を、僕は、
清々しく、
尊く、
思った。
うまお

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