ロミオ

偶然と想像のロミオのネタバレレビュー・内容・結末

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

偶然と想像、まずこのタイトルから秀逸すぎる。
3話全てにおいて個人的に共通点が多すぎて、自分の生活、人生、考え方において言語化できない深い部分を抉られるような感覚。なんだけど、苦しいとか気持ちが悪いといったようなマイナスな感情は全然なくて、肯定も否定もせず最終的にふわっと包み込まれるような感じなのが心地良い。

とにかく色んな良さが詰め込まれていて、3話通して感じ方は人それぞれだと思ったので誰かと語りたくなる映画です。一話目のメイコに共感した方、友達になってください()


一話目
冒頭のタクシーの中での会話劇で、一発でこの映画の世界観に引き込まれた。
メイコ、一歩間違えれば確実に害悪女なのに雰囲気とか演技の塩梅が最高で魅力的。嫌悪感抱かずに観られてとても良い。
他作品でも思ったけど中島歩ってなんでああいうインテリクソナヨ男の演技が似合うんでしょうか…この映画でファンになりました…

自分が好きという感情を顕にするのがなんかダサく感じるし相手に見透かされるのが怖くて、それでいて求められたいし相手を試したくて好きな人のことを傷つけてしまうけど、嫌われるのは怖くて根本ではこいつどうせ私のこと好きでしょ、みたいなこといつまでも思っていたい……というメイコの感情が本当に理解できて心が辛いです。
中島歩の古川琴音の会話劇の脚本内容も好きすぎる。焦燥感、テンポ感、少しのユーモアと知性
とにかく自分の現状と重なりすぎて自分も頑張らないとと、思いました……

二話目
瀬川教授と奈緒の会話劇が官能的で最早文学。会話は淡々と進むのに飽きさせない内容と役者さんの演技が凄い。奈緒は妻であり母親で、再入学もしていて一見強い女性に見えるが何をしていても満たされず自己否定の気持ちが消えない。それを淡々と受け止める瀬川。
結末は最悪なものになったけれどあの時間は彼女にとってかけがえの無いないもので、人生の中でターニングポイントになったのではないかと思う。最後の再会のシーンで、完全に佐々木との繋がりを断ち切ることはできないのが少し人間味を感じて良かった。

三話目
今こういう時代だからこそ、この2人の出来事がとても尊いものに思える。赤の他人だった2人が出会いをきっかけに、過去のぼんやりした思い出がクリアになっていく。
自分は中高校時代夏子と近しい経験をしたのだけれど、この映画見て、たとえ直接話が出来なくても、どんな形でもどこかで幸せに暮らしててくれればそれでいいなと思えた。
小林家の旦那さんの高校時代の彼女とのメールのやりとりの内容すごい共感してしまった…
終わり方とても良かったのでこの話が順番最後でよかったな
ロミオ

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