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偶然と想像のkenkenのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.9
会話もシチュエーションも滅茶苦茶面白い。聞き取りやすい語り口と的確な言葉選び、切り返し。
全話に感情の乗らないセリフのやり取り、テキストの読み合わせのようだと感じるタイミングがある。登場人物がカメラを超えて観客に語りかける様なショットもそうで、劇中の演技とかを超えて彼らが発する言葉だけ、その意味だけを感じ取らせようとしている。そうして伝えられる言葉が徐々に人の心を揺り動かし、熱を帯びて何かを決定的に変えてしまう瞬間に感動する。動きでは無く言葉で。
第一話は丸く収まったようで誰も幸せにならず、特に2人の心の隅に毒のように残り続ける感情に思いを馳せる。第二話は奈緒が自分を肯定していく様子に心を揺さぶられる。あと兎に角佐々木を何とかしてくれ。その為の名刺と最後の行動か。第三話は歩道橋の上で演技をする2人が、各々の想う人を想像しているであろう姿に胸を打たれる。
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