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対峙のnanaのレビュー・感想・評価

対峙(2021年製作の映画)
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子供同士のトラブル(今作はトラブルというレベルでもないですが)について、加害者と被害者の両親がひとつの部屋に集まり話し合いをするワンシチュエーションもの、といえばどうしてもロマン・ポランスキーの『おとなのけんか』を思い出します。
『おとなのけんか』も、最初はいわゆる「大人の対応」をしようとのことで冷静に事をおさめようとするのですがどんどん洒落にならない事態になっていく楽しいブラックコメディでしたが、今作は題材的にもかなりシリアス。

舞台っぽいなと思いましたが、やはり映画ならではの画作りが印象的。
4人の親たちが最初はどう座るか、そして話し合いを進めるうちに誰がどう動いていくのか。それをどう映すか。
序盤、話し合いの舞台をセッティングする段階からどことなく緊張感が漂います。まぁ、お菓子は食べないよね…。

原題のMASSからして、かなり宗教色も濃い映画。
まず被害者と加害者の親同士を対面で、他には誰もいない状態で4人きりで会わせるということ自体がかなりアメリカ的かも。
日本で公的に同じことは実現可能なのでしょうか。
これをいろんな国で作ったらどんな内容に、そしてどんな決着になるのか見てみたくなりました。

観ていてずっと息苦しくなりますが、それでも、深くもがいて苦しみ抜いた人間にだけ見えるものが何かあるのかもしれないと教えてくれる作品でした。
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