罪を赦すことがテーマとして描かれたアメリカ映画とたびたび出会う。映画というものの捉えられかたが日本とは違うのだろうなあと度量深さに恐ろしさのような寂しさのようなものを感じる。
責める、詫びる、のシンプルな対立構造では語られない。かと言って、「みんな被害者」みたいな安い感動で締めることもしない。
まず感情を吐き出すことで自分が何を考えていたのか、本当に欲していることは何なのか、本人すら意識できていない部分の輪郭を探る。
加害者の親は息子が悪魔であることを認めてしまうと子育てのすべてを全否定することを恐れているし、被害者の親は犯人とその親を赦すことで息子を永遠に失ってしまうかもしれないと恐れている。
「彼ら」の人生に意味はあったのか。ただ消えてしまっただけで世界は変わらないのか。
「彼ら」の人生の価値に想いを馳せることで、自分たちの人生を前に進めたとて「彼ら」の存在が絶対に消えないことを理解していく。