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秘密の森の、その向こうのbennoのレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
4.2
8歳の少女ネリー(ジョゼフィーヌ・サンス)…病室のように並ぶ部屋を順に訪ね、それぞれの部屋にいる老女たちに « Au revoir ! »(さようなら)と告げていきます…

ネリーの唯一の心残り…それは亡くなったお婆ちゃんに « Au revoir! »が言えなかったこと……母はそんなネリーを優しく抱きしめますが、その後、何も言わず姿を消します…。

ネリーはかつて母が遊んだ森を探索するうちに、自分と同じ年の少女(ガブリエル・サンス)と出会います…名前は母と同じ『マリオン』…彼女の家に招待されますが…

なんとそこは…"ネリーのお婆ちゃんの家"でした…。

言葉が少ないながらも登場人物の描写が丁寧で繊細…静かにゆっくり流れる空気感…どのシーンを切り取っても構図や色彩が美しい…。

ネリーとマリオンは実際の双子が演じているので…それだけでもとても神秘的…ふたりの衣装もクラシカルに見えたりモダンに見えたり…ファッショナブルと言うより着こなしが絶妙…また、それを活かすふたりの可愛らしさとフワフワの髪…。


  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜







どこか謎めいたサンクチュアリ…何かと出会える予感…ちょっぴり『となりのトトロ』を思い浮かべます…森は魔法がかけられる場所…世代が巻き戻るタイムリープ…。

Nelly: « Je suis ton enfant. Je suis ta fille. »
Marion: « Tu viens du futur? »
Nelly: « Je viens du chemin derrière toi. »

ネリー: 私はあなたの子供なの…。
マリオン: そうなんだ…未来から来たの?
ネリー: ううん、後ろの道から来たよ…。

とても可愛らしい会話で、クスッと笑えちゃいます…子どもはピュアな存在…不思議なこともバイアス無しに受け入れてしまいます…

原題は « Petite Maman »(小さいお母さん)…ネリーが森の中で出会った少女…それは"8歳のママ"だったのです…そして、自分と同じ歳の母親と普通の友達のように遊ぶだけのシンプルなストーリー…母親にも自分と同じ時代があったのです…。

一緒に秘密基地を作ったり…大人びた芝居をしたり…キャッキャとクレープを焼いたり…ボートで冒険に乗り出すシーンはワクワク…。

そしてネリーは大好きなお婆ちゃんに言うことが出来たのです… « Au revoir ! »って…。

娘…母…そして祖母…三世代の女性の在り方を見詰めるとても優しい絵本のようです。


そして…母から娘に語りかける言葉…

  「あなたと子供になることを夢見る…」



thanks to; 刺身ん𖤣𖤥𖠿𖤣𖤥
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