母が、かつて自分と同じような少女であったこととか、少しだけ現実から居なくなりたいと思うような繊細な感情を湛えていることとか、ふと見過ごしてしまいそうな事象が子どもの視点でやさしく美しく撮られている作品。
原題の「petite maman」がとても素敵。
戸棚から、何に使うともなく大事に取って置いたであろう綺麗なクッキー缶を見つけるシーン、何気ない些細なカットではあるけれど、「お祖母ちゃんの家だったこと」を表すのにあまりにも的確な表現で密かに感動してしまい、そんな細やかな視点のシーンを撮れるセリーヌ・シアマのファンになりました。
セリフは少ないけれど心に残るものが多いし(秘密についての解釈など)、美しい森の中で数人の心穏やかな登場人物のみで物語が進むのも良かった。