このレビューはネタバレを含みます
おばあちゃんが亡くなった。8歳のネリーは最後にさよならを言えなかったことを悔やんでいる。おばあちゃんの住んでいた家を片付けるために両親とおばあちゃん宅へ滞在することになるが、(思い出がありすぎて辛くなったのか?)ママが出ていってしまう。裏の森へ行くと、自分と同じ位の少女が1人で遊んでいた。それは8歳のママだった。その子のお家に行くと若い頃のおばあちゃんがいた。3日だけの交流だったが、最後におばあちゃんにさよならを言えたネリー。8歳のママ、若いおばあちゃんと別れ家に戻ると、ママが戻ってきていた。
ストーリーはざっとこんな感じ。
終盤、2人がボート遊びするまで一切BGMがなく、またセリフも少なく、淡々と物語は進む。ネリーは子供だからか、摩訶不思議な現象を目の当たりにしているのにさして驚いた様子もなく(ちょっとびっくりした様な表情は見せるが)、子供のママとすんなり打ち解け、この現象を受け入れ、馴染んでいた。モノローグや第三者的立場のパパへの報告もないので、ネリーがどういう気持ちか、観ている側はわからない。ネリーはただ、子供のママと子供同士、子供らしく遊んでおしゃべりするだけ。
実に淡々としているのが、そうそう、子供ってこんな風に友達と遊ぶんだよね、ってリアルでとても良かった。ネリーの心象吐露なんてあったら、途端に嘘くさく陳腐な作品になっていただろうと思う。だって子供は自分の気持ちをうまく説明なんてできないから。
ネリーの仕草や目線から最低限の感情の機微は滲み出てくるので、何が何やら、にはならなかった。
ネリー、ママ、祖母が時空を超えて交流を持ち、ネリーの後悔も消えたように思えた。
その様なセリフはないけど、ママがどれだけおばあちゃんを愛していたか、ネリーが大変なおばあちゃん子であったかは描かれているのもすばらしかった。
(おばあちゃんが暮らしていた施設の部屋から窓の外をぼーっと眺めるママや、序盤で、足の悪いおばあちゃんが使っていた杖を貰い、終盤で、子供のママに、その杖はおばあちゃんの匂いがすると明かすネリー)
静かで淡々としてBGMも極力無くした本作だが、それがとても良かった。大袈裟なセリフや演出がなかったことで、この不思議な現象が現実の延長線上にあるかの様に思わされたし、言葉にはしないけど登場人物みなそれぞれ、お互い深い愛情を持っていることがわかったから。
視聴中、何度か涙が出た。静かだけどじわじわ感情を揺さぶってくる映画だった。
また森の映像が美しくてとても癒された。季節は秋かな?紅葉した葉のつく木の枝をネリーが小屋に飾っているシーンや、雨の後の森のシーンなど目を引いた。
とてもいい映画だった。