まーさん

白い牛のバラッドのまーさんのネタバレレビュー・内容・結末

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

途中少しダレてしまって何度も寝落ちしそうになったけど、ラストあたりの演出がすごい好き。真実を聞くときに本人の顔を写さず、カメラは車線の向こうの男へパン。そして戻ると女の表情が変わっている。この顔の変化に男も少し気がつくが、判決の後ということもあり、理由ははっきりしなかったのだろう。帰宅してからの沸騰するミルクに、彼女の怒りが重なる。明らかに食卓に合わない、グラスに入ったミルク。優しく飲むように促され、それが毒入りだとわかるのは明白。男はそれを飲み倒れるが…、実際は男にミルクは出されておらず、女と娘は彼の元を去る。リアルに考えれば殆どの人間はこっちの道を選ぶのだろう。怒り、復讐、殺人、とはならない。
もし自分にこの悲劇が降りかかった時、私ならどうするのか、ということを考えさせられる。不穏な音が印象的で、少し耳が痛いくらい。エンドロールのバイオリンも少しキンキンとした音にしているのかな。この国の女性の立場も相まって、これから一番苦しいのは娘なのかも、と思った。
女が口紅を引くとき、それは女を意識したときと、何かを決意したとき。
娘の親権のために義父から訴えられたり、女がとことんバカにされている。その判決も彼が手を貸さなければ負けていたような描写もある。
冤罪、死刑、というよりも、どう人を赦すか、という話に思えた。「神のご意志」というセリフがよく出てきたが、そんなに多用されると、都合の良い時に使うんじゃねえよ、と思ってしまう…
まーさん

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