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さよなら、ベルリン またはファビアンの選択についてのSoulFoodKitchenのレビュー・感想・評価

4.0
とても面白かったです。
ナチスが台東して来る1931年のベルリンが舞台です。

歴史的か重々しい作品と思いきや、ホントにスピーディーな編集、カット割、ポップな色使い、分割された画面構成、コラージュ、アップテンポのジャズ、ナレーションが男性と女性に入れ替わる等、斬新な映像による、ファビアンを中心とした青春群像劇で、とても現代的な作風です。

当時のナイトクラブ、娼館、男娼館等、退廃文化の描き方がタイムスリップした様に敢えて時代錯誤を感じる描き方で、とても現代的に描かれてます。

でも、そこには、出口の見えない不況、社会不安を煽る新聞報道、警察による政治犯への威圧、労働者のデモ、右翼によるテロが行われ、確実に不穏な空気が流れて、まさに今現在の空気感を彷彿させます。
そこが、この映画の肝であり面白いところであり制作意図でもあると思います。

帰りの地下鉄の中で「円急落¥135円台」「侮辱罪厳格化の法改正可決」のニュース場面を見ながら、まだ映画の世界に居るのでは無いかと夢想しました。

原題の「Going To The Dog」は「ダメになる」
そして「破滅に向かう」と言う意味です。
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