ブラックユーモアホフマン

さよなら、ベルリン またはファビアンの選択についてのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

4.0
トム・シリング主演ということで気になっていたが見逃していた本作。

1931年のベルリン。第一次大戦のトラウマを抱えながら、ナチスの台頭によりまたきな臭さを増しつつある時代に、文才を持て余す失業者の主人公と、出会い恋人となる俳優志望の女性や、政治活動に勤しむ親友、それぞれとの関係性が変容していく様を描く3時間。

何かを思い出す作風なんだけどなんだったか思い出せない。様々な種類の映像を変幻自在に組み合わせるモンタージュが独特な編集。物語と時代感とコンセプトと感情と妄想と、を全てひっくるめて伝えようというような。

何かに似てる気がするけど何に似てるか分からないんだけど多分、小説家志望の青年がうだうだしてる感じは『マーティン・エデン』とかかなー。カメラワークとか美術の感じは『戦争と女の顔』とかもちょっと思い出したかなぁ。大胆な冒頭とかはどれってわけじゃないけどアニエス・ヴァルダの映画とか?なんかどれも遠からず近からず……思い出したいけど無理そう。

物語だけで言ったら別に普通に2時間尺でも語られる内容だと思うのだけど、3時間になっているのには、当時の時代背景と現代の我々の世界とを繋げようという試みに理由があると思う。面白いっちゃ面白いけども。

【一番好きなシーン】
・彼女のオーディションをこっそり覗いた後、映画スタジオの中で迷子になるシーン
・車の扉開け閉めしてたら小銭稼げることに気づくシーン
・ラスト。はい、泳げません!