風来坊

オーヴァーヒート 最後の制裁/チャイナ・ヒート 極悪強盗団vs特別捜査隊の風来坊のレビュー・感想・評価

3.5
1989年からら1996年の中国。凶悪犯ジャン・イェン率いる強盗団と中国公安局の犯罪捜査隊との長きに渡り繰り広げた死闘を描く。実際に起きた事件を基に描いた実録犯罪アクション。

ダニエル・ウーさんはいつものイケメンを封印して、おかっぱ頭で眉毛を剃り落として凶悪で外道な強盗団のボスを熱演。「ジュネックスコップ」の頃はそのルックスでアイドル的な売出し方でしたが時は流れますね。今も一線で活躍されているのは流石。

強盗団の目的がもはや金ではなく犯罪を楽しむような感じが恐ろしい。
強盗団は非情で暴力的ですが、頭が悪い訳ではなく頭脳を使った手口で警察をあざ笑う。頭のキレる強盗団のボスと頭のキレる犯罪捜査隊の隊長との知恵比べ的な対比が面白いです。

中国の死刑ってホントにこうなの?というお声がありますが、以前に中国の死刑の特集やグロサイトを見た事があり、死刑囚を糾弾する看板を掛けられ銃殺刑でしたので多分ホントだと思いますね。

時には競技場などで見せしめの集団死刑執行もあり、ずっとアムネスティなどが人権で抗議してるそうですが昔も今も変わっていないようです。
更正の見込みがない犯罪者に厳しい中国の対応はある程度は必要なのかなと思いますね。勝手に死刑囚の臓器を取ったり、臓器移植のために冤罪も多いと言われやり過ぎは間違い無いないですが。

皆さんが仰る通りでマイケル・マン監督の「ヒート」に構成が似ています。
面白いですけどアクションシーンはそんなバカなのシーンもあるので、かなり脚色していると思いますね。
中盤までは丁寧に警察と強盗団の背景や時系列を丁寧に描いていましたが、後半からは時間配分を誤ったのかかなり駆け足の展開で唐突に感じる部分もあります。

白昼の銃撃戦など緊迫感があるアクションシーンはなかなかの見応え。少しVFXがチープですが許容範囲。
主人公役の俳優さんがヴィジュアル的に地味で中国公安局万歳的なプロパガンダもあり展開に臭さはありますが、これだけ強盗を繰り返していたというこれが実際に起きてた事なのかと驚きがあり、なかなか楽しめた作品でした。

まとめの一言
「そんな状況でジョークなんか言えるかい!」
風来坊

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