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明け方の若者たちのbluetokyoのレビュー・感想・評価

明け方の若者たち(2021年製作の映画)
3.5
本当に誠実な描写で懐かしいの一言。自分ではないけど自分のことのように懐かしい。明け方、マジックアワーか。
春、内定済み勝ち組呑み会で盛り上がるけど主人公は冷静。でもその冷静さにも落とし穴があるみたい。
同じように醒めた目の女が途中で呑み会を抜ける。
ひょんなことから二人だけで公園で呑み会、盛り上がる。すごい美人というわけではないし、貧乳だし、自分にはこれぐらいの女がちょうどいい。話も合うし。いけるかも。
最初のデートも誘ってきた。演劇見て、餃子の王将、そのあとはラブホ。まじっすか、せかされるような展開、でも、まだまだ、自分は冷静。セフレ、ゲット、だから。
翌年の春は就職、印刷会社、企画でばりばり活躍しようと思ったら、地味な総務。まあ、どう見ても、営業向きじゃないとはわかっていたけど。
夏は、彼女とリゾートホテル。ざまーみさらせ、自分には彼女がいるのだ。高円寺に引っ越して、彼女もいっしょに住んでくれるし。会社なんてどうでもいい。日の出直後のマジックアワー。でも太陽は上ってしまい、どうしたって、すぐに日常が始まる。
自分は勝ち組じゃあない、冷静だ、なんて思っていても、やっぱ、浮かれていたんだね。若さのなせるわざなのかな。いつの間にか、本気に恋してしまっていた。
でも、その輝きは未来永劫、誰も触れることのない輝きを残してくれる。
もし、最後まで冷静で、彼女と別れるとき、タダで、セックスもやれたし、人妻だからあと腐れもないし、よかったよかったなんて思っていたなら、昔を振り返っても何もなかっただろうな。
そのまま老けていくだけだろうな。
最後のクジラ公園で、まさか、彼女がいたりしたら、なんて期待したけど、まあ、いるわけない。いないから、マジックアワーが思い出の中で輝くのかもね。
それにしてもガウンを羽織ったままセックスはしないだろうな。カットしてもよかったし台詞だけでもよかったように思う。
誠実な描写は良かったです。
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