タケル

ボーはおそれているのタケルのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ボーはエディプスコンプレックスを克服できないまま大きくなった"こどもおじさん"だということだろうか。「父の不在」によって、父からの去勢不安→母の断念→父との同一化というプロセスを経ることができず母子密着に陥っている症例か。屋根裏部屋に隠された男性性の象徴(父の化身)と自身の分身という絵は、作中で最も直接的にこの作品のテーマを示唆していたように思う。
そして、本来的には同一化すべき対象であった男根を隠しているのは他でもない「強き母」であるという恐ろしさ。母による去勢を乗り越えようと女性と交わってみても、超越的な力によって女性の命は絶たれ、自身はあろうことか子宮にうずめられてしまうという考え得る中では最悪のバッドエンド。
ボーが母に完全に支配された存在ではなく、要所要所でそれなりに抵抗を試みていたからこそ、この終わり方には同情を覚えてしまった。
タケル

タケル