『アリ・アスター先生からの最終問題』って感じ。ヘレディタリー、ミッドサマーに続く、胸糞家族映画三部作のフィナーレを飾るのにふさわしい作品。これまでの、ショートフィルムの雰囲気や、監督の趣味嗜好など、ふんだんに盛り込まれており、まさに集大成と言えるだと思った。
一見、訳の分からないストーリーで、鑑賞後も釈然としない気持ちにさせられているだけに思える。だが、アリ・アスター作品は決して、鑑賞者の想像に委ねるなど小賢しいことはしない。必ず作品の中の材料を細かに検証すれば、ストーリーのほぼ全てがわかるようにできている。
今作品は、その謎解きが過去三部作と比較して圧倒的に難しくなっているが、その分検証し甲斐がある素晴らしい作品になっている。
頭のおかしいボーの気味悪い妄想を見せられた、と単純に考えてしまう観客に警告発し、映画を隅々まで楽しむことの素晴らしさを教えてくれるような作品に思えた。
間違いなく傑作である。
