ゆうP

ボーはおそれているのゆうPのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

極度の不安症を抱える主人公ボーがある日母の怪死を聞きつけ、その真相を確かめるために実家へ帰省するまでの冒険活劇。

不安症のボーが見る妄想と現実に起こっている事象が境目無くボー目線でひと続きに描かれるため、終始カオス状態の映画。


Story
母親は死んでいなかった。
すべてはボーの母親が息子からの献身的な愛を確かめることが目的だった。


ボーの母親は、自身が愛を知らずに育ち、息子には私と同じような人生は歩んで欲しくはないと、愛を注ぎ続けた。しかし、彼女の愛は、「無償の愛」ではなく、「見返りを求めた愛」だった。そのため、ボーが自分のことを最優先に考えておらず、平等に愛を返してくれていないと感じた彼女は、自分の死を偽装し自分がCEOを務める会社の従業員を操り、ボーの自分への愛をテストした。


母の死を聞きつけたボーは実家に帰ろうとするものの、あらゆる場面で邪魔が入ってしまう。家の鍵をなくし、荷物は盗まれ、家に浮浪者が押し入り家の中を荒らされる。殺人鬼に襲われ、車に轢かれて意識不明になり、見知らぬ夫婦の家で治療を受ける。

これは母親が外の世界はこんなにも危険なのだと伝えることが目的なのかな。


一刻も早く母親の下に帰りたいボーだが、夫婦に都合を合わせてもらえず予定よりも一日遅れて出発することを決断してしまう。

もちろんこれも母親は知っており、この決断をしたボーに失望を感じる。

それから一転して、ボーは森の中で劇団を観劇することになり、今とは異なる世界線の自分を想像する。そこには、母親の支配から抜け出し、自給自足で暮らし、3人の子供を持ち、苦楽を共にしながら幸せに暮らすボーがいた。

そんな想像の世界から現実に戻されたボーは、明くる日母親の葬式に遅れて参加する。その夜、ボーの初恋の相手が目の前に現れて体を交わすことになる。しかし、その初恋の相手は腹上死してしまう。

この行為が母親の琴線に触れる。


その後、死んだと思われていた母親が現れ、ボーに真実を告げる。そこで初めてボーは自分が母親への愛を試されていたことと母親にコントロールされている人生を過ごしていたことを知る。


真実を知ったボーは自立を決心し、小船で実家から逃げるように出ていく。
それも虚しく、ボーは小船に乗ったまま裁判にかけられてしまう。
判決は「有罪」
母の支配から逃れられることはできなかった。
船は爆発しボーは水中へ消え、そのままエンドロール。

「BAD END」


My IMPRESSION and DETAILS

アリ・アスター監督の長編作品の中で自分は好みの作品。
3時間があっという間だった。
歪んだ愛の価値観を持つ母親。それに気づかない息子。納得のEND。


ボーが射精をすることで死ぬという話は偽装で、ボーが他の人間に「ある意味」愛を注ぐことを自制させていたのかな。

父親という存在自体はボーにとっては顔も知らない射精して心不全なって死んだ人間。だから屋根裏でみた父親はメタファー的に男性器を模していたのかな。



でも思い返してみれば最初のセラピーの時点で裁判の判決は決まっていたんだね Guilty


「主体性」の大切さ


最後の裁判でのボーの小さい頃の映像で、迷子になったときに母親が自分を探しているの見て、見つかっても怒られるなら隠れておこうっていう気持ちはすごく共感できた。
母親に起こられるのが一番怖かったもんなぁ。

あと風呂場にいた男は妄想or現実?

実家に帰る頻度増やそうかなぁ。
ゆうP

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