Rocco

ボーはおそれているのRoccoのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5
誰かの妄想に付き合うには長すぎる...けど、一つ一つのシーンは面白かったりするので、また見返すかもしれない。ただし倍速で。

『少年は残酷な弓を射る』は母親の側からのストーリーだったけど、母と息子の歪んだ関係性は、こんな描き方もあるんだな。プレッシャーかけまくられた息子の側からすると。

先日玄関の鍵が壊れて鍵を付け替えたばかりだし、今日は大雨で、たまたま主人公と母親が対峙してボーが母に手をかけるシーンで稲妻が光ってびっくりした。こんな感じで、誰かの日常に転がるささいな出来事でも、歪んだ目と、病んだ精神で薬に頼りながら関係性を見出そうとするとこんな世界が開けるんだろうか。

いかにも人の良さそうなアリ・アスター監督の外見と、ポップに昇華させてはいるけど、とことん病んだ作品を観ていると、積極的に理解したいとは思わないけど近くにいたら気になって仕方がないだろうなと思ってしまった。好奇心を刺激する記号だらけ。

集中して解読しようとすると精神を病みそうだから、お腹が空いた時にランダムなシーンを開けて、つまみ食いをするくらいがちょうどいいのかも。アリ・アスター監督は、彼女と別れて『ミッドサマー』、おばあさんが亡くなって『へレディタリー』、ここでは母の期待に応えようともがいた結果の強迫神経症と鬱病と妄想を描いているからお母さまになにかあったのかと想像したら、ご両親は健在。ユダヤ系とはいえ、お母さまは詩人、お父さまはミュージシャンだそうで、想像したような厳格なステレオティピカルな親とは一味違う感じだったのが意外だった。
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