天才!!なんじゃあこりゃあ!!アリアスター監督ってここまですごかったんだ。もうこれはデビッドリンチかテリーギリアムか?っていうか過去のいろんなシュール系作品を凌駕しちゃった一大叙事詩。創造主である母親に支配された大人になれないボーの現実か妄想かわからない壮大な物語。
第一章は一歩外の出るとイカれた人たちがうじゃうじゃいるボーのアパート。もうこれが最高。走って追いかけてくる刺青男とか天井のアレとか、なんなんだよこれー。ボーが気の毒だけど何度も笑ってしまった。
第二章はボーにとって理想の家族。怖いくらい親切で愛情深い夫婦。しかしそれも崩壊していく。母親への罪悪感が幸せになることを許さないのだろうか。
第三章。森の中の劇団。劇中劇にいつしかボーも入っていく作りが見事すぎる。そこで彼はセラピー的な癒しを体験する。放浪や離散、迫害のストーリーはユダヤ人に重なる。
第四章。誰も居ない母親の邸宅。唐突に現れる初恋の女性。屋根裏の秘密。全てがボーの妄想なのか?現実なのか?母親が仕組んだことなのか?
こういうどこまでが現実かわからない系の作品。未来世紀ブラジルやバートンフィンクやマルホランドドライブ。そういう系自分は大好きなので、もちろんボーも最高だったし、またオリジナリティがすごいね。母親と息子っていう家庭内の小さな話なのに壮大なスケールと奥行き。あれもこれもあの人も何もかも、、、範囲が広すぎだろ、、(っていうふうにボーが妄想しているっていうことだと思うけど)
何回見ても新たな発見がありそうな作り込み。そして3時間かけてこれ作ったっていうテーマの切実さ。そして演出がうますぎる。
ヘレディタリー、ミッドサマー、ボーは恐れている。デビューから3作連続大傑作。もうアリアスター監督は自分の中ではすっかり巨匠になってしまった。