前半は、石井裕也監督が覚醒したか!と大いに期待したものの、結局、世の理不尽さを母子の愛情で解決してしまうという残念な結末でした。
それに「まあ、がんばりましょ」と自分自身の怒りを抑えてきたその重しが取れた時、その怒りの向かった先が世の理不尽さではなく、たとえ相手が嘘をついていたとはいえ(かなり曖昧な描写になっている)かなり個人的な男女間の問題の相手というのはちょっとずっこけます。
さらに、その後始末がまさに良子が拠り所としていたルールを守ってさえいればというそのルールを破って行われていることに良子は気づいているかどうかが問題であることに果たして映画は気づいているのでしょうか。
つまり、良子が拠り所としていたのは自分があちら側の人間とは違うということであったのに、結局自分もあちら側の人間と同じであったというそのことをどう受け止めるかということこそを映画の主題とすべきではないかということです。
あちら側の人間になってしまうことがもっとも現実を描いていることだとしてもです。
「ネタバレレビュー・あらすじ:石井裕也監督、覚醒す!と思いきや…」
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