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ヘカテ デジタルリマスター版のbennoのレビュー・感想・評価

4.1
待ちに待ったダニエル・シュミット!

冒頭、有名なテーマ曲が流れる中、シャンパンの泡🫧…これがこの物語の全て…儚い、うたかたの恋。
文字通り、主人公も観ている側も酔いしれます。

ストーリーは至極シンプル…とにかく"美しさ"にこだわった作品です。

1930年代の北アフリカ。新たに着任した若き領事館ジュリアン・ロシェルは夫がシベリアに赴任中の人妻クロチルドと出会い恋に落ちます…

彼女の登場シーンでドキッ!髪をかき上げた時の脇毛に目を奪われます。アメリカ人設定であるにも関わらず…明らかに演出と思われますが、ここで只者ではない気配を感じます。彼女はとても自由奔放で無邪気な性格であることを植え付けるかのようです。そして結果ファムファタールとして描写されます。とても罪な女性…でも彼女に溺れるジュリアンもとても人間らしい…。

『ヘカテ』とはギリシャ神話で月と魔術の女神、夜のシーンがとても印象的です。

そして本作の1番の見所は、2階の欄干でのラブシーン!シルクのドレスを着たクロチルドを後ろから抱擁するジュリアン…流れるのはテーマ曲のワルツ♪
とてもとても美しいシーン…シルクのドレスが有るのと無いのでは雲泥の差…うっとりです!

また、タイトルバックでCostumes de Bernard Giraudeau par Christian Diorとあるように、ジュリアンの衣装は全てディオール、特にシベリアへ行く時のコートはめちゃくちゃカッコいいです。

スイス映画ということで、多民族、多言語というのも特徴的。ちょっと大人の素敵な映画なので、また歳を重ねて観たいと思います。
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