HAYATO

悪い奴ほどよく眠るのHAYATOのレビュー・感想・評価

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)
3.7
2024年94本目
悪い奴らは眠らせない。
黒澤プロダクションの第1作
度々自身の作品を通して社会批判をしてきた巨匠・黒澤明監督が、本作では「汚職」をテーマに据え、父を死に追いやった政財界の権力者たちを追う男の復讐を描く。
土地開発公団の副総裁・岩淵の娘・佳子と、秘書・西幸一の披露宴が始まろうとしているが、直前に公団の課長補佐が逮捕されたために、その場は異様な空気に満ちていた。その頃、検察への謎の密告状によって、公団と大滝建設の贈収賄が摘発されようとしていた。
本作の物語は、アレクサンドル・デュマ・ペールの小説『モンテ・クリスト伯』を参考にしているとされる一方で、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ハムレット』の影響も指摘されている。
黒澤組常連の三船敏郎さんの他、『雨月物語』の森雅之さん、『近松物語』の香川京子さん、『天国と地獄』の三橋達也さん、『ゴジラ』の志村喬さんらが出演。若かりし田中邦衛さんがチョイ役で登場する。
本音と建前が入り乱れるオープニングの結婚式のシーンは、フランシス・フォード・コッポラが愛してやまない有名なシーン。『ゴッドファーザー』の冒頭の結婚式のシーンは、本作から着想を得ているというのが何ともすごいお話。
社会派でありながら飽きさせないエンタメ的な魅力がある。
腐敗した社会構造の中で甘い汁を吸い続ける巨悪はいつの時代も存在することや、欲と悪に徹した人間の非道な振る舞いに腹が立った。
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