樹海村からのキャストつながりで軽い興味で見たが、めちゃめちゃ良かった。今年見た邦画の中では一番。
ゲイを取り巻く問題をしっかり描いている点は、文部科学省推奨にして全ての高校生に見せても良いのではと思うほど。かつてこんなにストレートに教育的でエンタメ性も兼ね備えた映画があるだろうか。
ライトな導入から、重めの展開への移行も自然。無駄なシーンがほとんどなく、ある程度現実を踏まえた着地ながら、青春映画的な後味も良い。
そして何より、このテーマを人気も実力もある若手俳優たちが演じることが画期的。
特に山田杏奈。これからもっとちゃんと世に出ていく役者だと思うがマジで末恐ろしい。
ルックスだけでなく、感情の振れ幅がバッチリ。
神尾くんとはあの樹海村のコンビとも思えない、素晴らしいやりとりを見せてくれた。
脇の前田旺志郎も良かった。
芸歴の長さに裏打ちされた安心感。完全に場の空気をコントロールしていた。すでに日本では上位クラスのバイプレイヤーの立ち振る舞いだった。
邦画は直接的に主題を描かずに、あなたの心には何が残りましたか?なんて雰囲気で終わるのがよくあって辟易するが、この映画は逃げてないし、人気俳優が演じることで、若い層も目にしやすく、とても意義のある存在だと感じた。
アウティングやその後の話し合いの場面など、若い時の認識はあんなものだと思うし、いろいろな人物を周辺に配置して偏りなくしっかり縮図をまとめていたと思う。
あと、印象に残っているのは、途中のベンチで悩む早送りのシーン。月の動きで時間の経過を表現しているところは、おおっとなった。邦画は撮影時間も限られているだろうに、しっかりとこういうシーンに時間をかけるのは素晴らしい。この監督はわかってる。
ちなみにこういう映画には珍しく、クレジット後にも短いシーンがあるのでそれもお見逃しなく。