林正治

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎の林正治のネタバレレビュー・内容・結末

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

血で血を洗った戦争が終わり生き残った者は何を見て生きるのか?

「血」と「目」をキーワードに話が進み沙代ちゃんの「龍賀の血を引く者としての私しか見てくれなかった」的なセリフで2つのモチーフが繋がる。ラストでは幽霊族の血を引く最後の子ども鬼太郎が生まれ父は目玉おやじになる。


水木とゲゲ郎のバディもの、因習村、令和に描かれる昭和……色々な評判が立ってるけどやっぱり鬼太郎シリーズの前日譚として、鬼太郎と目玉おやじを語るための「血」と「目」だった気がするよ。

「水木は血液銀行勤め」
「鬼太郎は幽霊族最後の生き残り」
「目玉おやじは父の遺体から生まれた妖怪」
っていう原作の3つの設定を膨らませるにあたって血と目のモチーフを拾うところからスタートしたんじゃないかな。


水木(人間)の存在は戦争・血液銀行・社長の後継に接触……と「血」のキーワードで語られ、ゲゲ郎(妖怪)は人間をどう見るかというセリフや片目隠しのキャラデザで「目」が強調される。
人間:血
妖怪:目

それが龍賀一族の死体(目をくり抜かれている)だったり、桜の大木(幽霊族の血で赤く染まっている)だったり、血と目のモチーフが人間と妖怪の境界を超えていく。瞳の色が龍賀の近親相姦を示唆しているのも人間のタブーを犯し一線を超えた表現とも取れる。


こういう話全体の構成が練られているのがかなり見応えあった(アニメっぽさは強めでテイストはテレビシリーズの前日譚だった)
でも村長の糸目キャラが喋って石田彰ボイスが聞こえた時点で「あーこの村はやばいことに手を染めているな」と分かってしまう
斜め角度からのカットで瞳孔の凹みが描かれてる作画にグッとくる〜
林正治

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