ヲタクが盛り上がってるとついつい観ちゃうよね。ファンアートがどれも面白かったのと、わたしの知らない鬼太郎ストーリーがどうしても気になって映画館へ。
エンディングのおどろおどろしさに、子供の頃「ゲゲゲの鬼太郎」がものすごく好きだったことを思い出した。
いつも子供を助けてくれる彼をリスペクトのあまり鬼太郎じゃなく鬼太郎さん呼びだったし、図書室にあった不気味な絵ばかりの妖怪大全を隅々まで読んでいた子供だったことを思い出したし、大人になってからもモチーフにされていた舞台や美術展にも行っていたことをさらに思い出した。
幼きわたしのヒーローだった鬼太郎さんは、大人になったわたしの世界からいつの間にか忘れ去られてしまっていた。
でもこれはそんな大人の世界の話、だ。
妖怪界に異様に顔の広い目玉だけの親父さんは、なんと銀髪長身で馴染みに馴染んだ声優さんのお声だし、戦争のトラウマですっかり擦れてしまった水木は現代の私たちにどこか似ている。
物語は妖怪よりもどこまでも醜い人間の欲と消えない怨念を描いていて「本質を忘れるなよ」と突きつけられたかのようだった。
そしてハッピーエンドではないからこそ、そこから希望を見いだそうとするのが人間の営みの一つなのかもしれない。
大人向けアニメだけどかつて子供だった大人たちへ、というプレゼントのようで映画館からの足取りはとても軽かった。
