野菜ジュース

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎の野菜ジュースのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
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冒頭から、副流煙に咳込む車内の子どもを描いていて、ノスタルジックになりがちな昭和の描き方として百点。

アニメ第6期で安倍政権下のモリカケ問題、水道民営化、アベノミクスなんかを風刺して話題になっていたスタッフは、その批評性を加速させ、日本社会の矛盾の根源にまで至ってしまった、すごい。
地主が地域の支配者となり、その経済力をつかって銀行、鉄道、製薬会社などに投資をおこない、その影響力を使って政治をも支配しつづけるのが日本だ。当然、弱者が食い物にされて捨てられる構造でもある。それが如実に表れたのが先の戦争で、戦争後も変わらず続いているよねっていうお話。

幽霊族の話になっているけど、731部隊のコアメンバーが戦後医学会で君臨したり、薬害エイズ事件をおこしたわけだから、そのまま昭和史といえる。劇中、ミズキの脳裏にうかぶトラウマは、『総員玉砕せよ』で描かれているとおり、水木しげるの実体験だ。全部ほんとのことだから、ゾゾゾ…としてしまうのだ。

PG12になることも厭わず踏み込んだゴア表現は新鮮だったし、アクションも手を抜かず、飽きさせないテンポの良さもあった。あくまでアニメ映画の中でしっかり勝負しているのもナイス。
配信されたら、妖怪目当ての子どもたちが間違って出会ってしまってほしい作品!
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