おちゃか

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のおちゃかのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
3.2
水木しげるリスペクトの集大成を作りたかったのは、痛いほどわかる。
でも、鬼太郎は元々は本当の意味で漫画であり、ホラーであり、少なくともサスペンスだったはず。それがどんどんファンタジーからアクションになり、アイコンだけが走り続けていまの鬼太郎になったわけだが、そこに一抹の寂しさがある。

近年タバコをとにかく悪として避ける風潮に対して、喫煙が当然であった昭和期をどういうアプローチで撮るかで、その映画の基本視座がかなり見える。逃げない姿勢といまの感性がせめぎ合うのだが、結局ある程度は「言い訳」としての表現があるのが残念。いっそ振り切った方が話題になるのに。

鬼太郎という、もはや妖怪が、ホラーではなくエンタメのキャラクターでしかないシンボルのような存在を、どうやってそれを再定義すればいいかに挑んだ意欲作だとは思う。

それでも、やりたいこと、や、見たことあるシーンがてんこ盛り過ぎて鼻につく。

鬼太郎シリーズは、怪異を使って様々な「現象」を物語にすることができたのに、まとめて今作にコミコミなのは、もったいない。

妖怪は昭和で死んでしまったんだな。
横溝正史や江戸川乱歩を筆頭に日本の地域文化とともに生き、そして消えていった。
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