これまでTVでは第6期まで放映されている『ゲゲゲの鬼太郎』。僕が幼少期に観ていたのは第3期(1985年〜1988年放映)。
こちらは水木しげる生誕100年記念作品。鬼太郎誕生以前を描き、概ね「大人向け」という評判の良さもあって鑑賞。
昭和31年、当時の日本で政財界を牛耳っていた龍賀一族の当主、龍賀時貞が死去する。東京で帝国血液銀行に勤める水木は一族が経営する製薬会社「龍賀製薬」の担当者であり、次期当主にアピールし出世の足掛かりとすべく、一族が暮らす哭倉村へと向かう—— 。
哭倉村で繰り広げられるは、この手の話のド定番でもある熾烈な遺産相続争い。時貞の遺言は周囲の期待を裏切り、次期当主はずっと引き篭もりだった時麿なる人物が指名される。そして次々と起きる連続殺人事件。
ここまでの展開は、ほぼ『犬神家の一族』のまんま。
えーと。
何を見せられているんだろう。
水木は行方不明の妻を探す為に村を訪れた謎の男(後の鬼太郎の父)ゲゲ郎と出会い、彼が幽霊族である事を知り…。
…と、何となく水木ワールドっぽくはなるのだけれど。
評判が良かったので多少期待していたが、幾つか引っ掛かる点があって個人的には刺さらず。
水木が哭倉村を訪れるシーン。蝉が鳴き、茹だるような暑さの中、スーツのジャケットを羽織った水木の姿が。
汗の一つもかいていない。
いやいや、真夏の炎天下でスーツ姿で歩く事がどれだけ暑いか。リアリティのない描写で序盤から先ず興醒めに。
ゲゲ郎とそれ以外のキャラクターデザインが統一されていないのも気に入らない。
ゲゲ郎は水木しげるタッチなのに、水木や龍賀一族の人々はより現代的なタッチ。このキャラデザもあまり好みじゃなく、テンションが上がらない。
ゲゲ郎のアクションシーンだけは、担当したアニメーターの腕が良いのだろう。独特な揺らぎのある線画となり、動きやカメラワークが斬新だった。
良かったのはその辺りぐらいかなぁ。
水木しげる生誕100年記念作品と謳うのならば、敬愛する水木しげる先生"らしさ"をもっと出した方が良かったのでは?