mech

そして僕は途方に暮れるのmechのレビュー・感想・評価

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
4.0
コミュ障が極まるとこうなるのか…と、観ているこっちが途方に暮れた。スマホにたくさんの連絡先を登録していながら、逃げるために頼って電話をかける相手が彼女に把握されている生活圏内だけっていうのがまた、ハリボテな電話帳だな…と、かなり憐れだった。
逃げる彼を取り巻く人たちもまたどこかハリボテで、5年も同棲している彼女も幼馴染の親友も家族でさえも、なんか噛み合わない。彼が口籠るのもわかる気がする。
ラストシーンで彼は、強い眼差しや吹っ切れた表情を見せたけど、あれはあの瞬間限りのアドレナリンが出ていただけで、“変わった”のではなく開き直っただけだろうと思っている。少し打たれ強くはなっただけ。それでも、彼にとっては新たな一歩だろう。
それにしても、「泣く子はいねぇが」の主人公を超えるクズに出会えるとは思ってなかった。あんなのと5年も暮らした彼女も信じがたかったし、父母姉も癖が強くてしんどかった。でも、側から見た現実は、どこも案外あんな感じなのかもしれない。
mech

mech