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そして僕は途方に暮れるのmasatのレビュー・感想・評価

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
3.7
どことなく『愛のコリーダ』(76)の吉蔵を思い出す。
社会と、世界と逆行する男。
戦争であろうと社畜であろうと、社会が向かう方向と逆をトボトボと歩いていく男。
カス、と人は言う。

“現実”を突きつけられると、男は、嫌で嫌で仕方ない生き物だ。だから、逃げる、そんな生理が異様で可笑しい、キツイぜコメディ。

しかしまあ、三浦大輔は、キテんなあ。
北海道の雪夜に見上げる煙突の絶望感。もう恐怖の連続。地獄巡りが、実に愉しい。

カタチが悪い餃子が凄まじい。原田美枝子が、やはり凄い女優だった、とかなり久々に思い出す。追い詰められると、嬉しそうで、その想いが画面から溢れ出ていた。

次の地獄は、「パチンコ屋の帰りだよ!」と言い放つ父との再会。
トヨエツも、大迫力で、牢屋から出られない、ちょー絶カスを演じるが、結果的かも知れないが、その牢屋からせめて息子だけは脱獄させてあげた、ような。

そして血は争えない、血は争わない、大晦日も、まだまだ異種格闘技戦で、押し付けがましくない、年越しの静けさが沁みる。

どうしたらイイんだろう、と、
なんか・・・なんか・・・と連呼する三浦大輔が憑依した藤ヶ谷太輔が、素晴らしかった。よく追い込んだなあ。

冒険のゴールは、新宿の高層ビル街だ。
雪夜に見上げた煙突が、ラスト、新宿の高層ビルに変わり、まだまだ見上げる立ち位置ながら、
「面白くなってきたぜ!」と前へと進む、やはり抉りながら、感動へと導かれ、やはり凄え、三浦大輔。
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