ロディー

ノーカントリーのロディーのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.5
この映画の凄いところはやはり、論理的すぎる殺し屋で、「死」の象徴「シガー」の恐ろしさだ。序盤の保安官補の殺害シーン、町民の頭を撃ち抜くシーン等、派手で凶悪な殺しが続くが、終盤になるとその描写が、殺したんだかそうでないのかよくわからないものになる。
しかし、映画を鑑賞する人には、標的の死を予感させてしまう。この撮り方が実に上手で、かつおぞましい恐怖を感じさせる。

私には、この映画で伝えたいメッセージがぼんやりとしか読み取れなかった 。それは、この映画全体を取り巻く、何とも居心地の悪い虚無感だ。
大きな悪に対しては、個人では何も出来ない。何も変えられない。映画を観る人は保安官の「ベル」と一緒にそれを察してしまう。
ただただ、虚しい。生きづらい。

私は日本人だし、麻薬や銃社会とは縁遠い世界で暮らしている。それは本当に暢気で平和で、幸せなことなのだと思う。実際の社会はもっと恐ろしいのなもしれない。しかし、私にはこれが現実だ。
この映画を観て、今ある現実をもう少し大切にしようと思った。
危ないことには手を出さず…
ロディー

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