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鬼平犯科帳 血闘のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

鬼平犯科帳 血闘(2024年製作の映画)
4.2
私的には鬼平と言えばやはり吉右衛門だが、この松本幸四郎版もなかなかいい。
江戸の火付盗賊改の頭となった元不良の鬼平が、過去に因縁のある冷酷非道な盗賊の頭に付け狙われる。
昨年の「仕掛人・藤枝梅安」に続く、池波正太郎生誕100年プロジェクト。
日本映画専門チャンネルで続くシリーズに向けて、幸四郎版鬼平と仲間たちのお披露目編と言うか、パイロット版的な作りで、映画で綺麗にまとまっていた「仕掛人」二部作ほど、ドラマ的な深みはない。
画作りも「仕掛人」では明暗のコントラストを強調し、闇の中でフワッと浮かび上がるシルエットと滲む光と言う、葛飾応為の浮世絵を思わせる独特なものだったが、こちらは全体が明るく豪華なテレビドラマと言う感じ。
だが時代劇そのものが地上波から消えた今、ド派手なチャンバラアクションはそれだけで十分に非日常だ。
北村有起哉演じる悪漢の、斬るに値する外道っぷりもいい。
なかなかの仕上がりのエンタメ時代劇だと思うが、前回匂わせておいて藤枝梅安が出てこないのはちょい残念。
池波正太郎版、大江戸アベンジャーズを期待していたのだが。