ダメハム

大いなる旅路のダメハムのレビュー・感想・評価

大いなる旅路(1960年製作の映画)
4.0
1960年の関川秀雄監督作品。
1人の機関士の青年から老年を演じた三國連太郎の器量に圧倒。国鉄協力の下、本物の列車を脱線横転させたり映像の力がすごい。悲喜こもごもの人生にいつも寄り添う列車と雪国が抜群に合って郷愁を誘う。

戦争が残した傷跡に堪えながらも、たくましく生きていく姿に魅了されるね。親から息子の高倉健へ、SLから特急こだまへと時代が移り変わる様の描写がうまい。

死の直前まで仕事に気にかけた先輩の姿に胸を打たれて、何事にも自堕落だった生活を改めて生きる喜びをかみ締めるシーンがいいんだよね。この約30年の物語を95分でまとめ上げた新藤兼人の脚本の力に驚かされるが、個人的には、もう少し時間をかけて戦争直後のくだりを描いてほしかったな。

ラストの夫婦の会話「長い旅だったねえ」「まだ残ってますよ」のシーンのなんと美しいことだろう。本当に名シーンだよ。
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