鰹よろし

クリムゾン・レイドの鰹よろしのレビュー・感想・評価

クリムゾン・レイド(2020年製作の映画)
1.5
 特殊部隊(傭兵?)時代に雇い主(?)から武器取引現場の監視役を仰せつかり狙撃手として配置されたヤーシャ(ニキータ?)は、スコープに映った自ら進んで危険な現場に赴くという新しいボス(?)通称幽霊(ゴースト)が幼少期に父親を殺した男であると判明するや否や引鉄に指をかけ引いてしまう...

 咄嗟にヨガのインストラクターと付き合い始めたヤーシャに金魚を勧めてきた相棒が止めに入ったことで未遂に終わったものの、取引はおじゃんでその場は銃撃戦がおっぱじまりドンガラッガッシャン。2人は味方の爆撃を受け、相棒は死亡しヤーシャはかろうじて生き延び逃げ延びた。その後は金魚ではなく亀のヨーダと共に身を潜め、父の仇への復讐の機会を伺い計画を練っていたようだ...

 ゴーストの所有(?)する工場(ビル)を力ずくで買収したい実業家と目的を概ね同じくしたためヤーシャはその計画に便乗し後押しすることに。いざ実行の日、当初の要求や予定との多少どころではないズレに懸念を示すものの暴力で工場攻略にレッツゴー。

 ビルを制圧していくという設定故、イメージ的には「ザ・レイド」があったのだと思う。その道のプロ(格闘家)が充てがわれていることもあり、アクションにはキレがあるし、敵味方入り混じっての様々なバリエーションで魅せたいとする意志はひしひしと感じられる。

 しかし肝心のストーリーが、劇中の人間たちが掲げる目的の下動かされていくのではなく、魅せ場を多用したいがための製作者の勝手な都合でカタチ作られているものなので、どうにもこうにもまどろっこしい。力の入れ所を間違えている計画に他にやり様がいくらでもあっただろと疑念ばかりが浮かんできてしまう。

 エンカウント率を高める算段として、好戦的な面々が顔を揃え、おそらく誰一人として工場内部の構造や配置された人員を把握していないのだろう無計画さや場当たり的な対応が前面的に押し出されしてしまっているのもそれに拍車をかけている。

 作品の設定と何ら相違も無いのだが、これだと単に素人のチンピラ集団が喧嘩をしているだけなので、格闘におけるプロを据えた意味が感じられない。戦士である主人公との差別化も狙いの1つだろうが、それならそれで誰を充てがっても良かったではないかと。むしろその方がメリハリもついたのではないか...

 この筋書きではなかったらより際立っただろうアクションの数々に、変に魅せるアクションではなければまだ納得できただろう物語にと、どうにも両者が噛み合わない中途半端な作品だった。


「ザ・レイド」(2011)...「Z Inc. ゼット・インク」(2017)...「Z Bull ゼット・ブル」(2018)...
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