ハルノヒノヨル

うみべの女の子のハルノヒノヨルのネタバレレビュー・内容・結末

うみべの女の子(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

漫画原作ということで、多少の非現実っぽさを無視することが必要だ。
砂浜に落ちているSDカードがそんな簡単に読み込めるかなぁとか。
錆びてなければいけるのかもしれないが。
多感な時期のことであるから、まあそういうこともあろうかな。
そもそもの始まりは性暴力だろう。小梅の行動は訳がわからないように見えるし自分勝手である。
三崎先輩に好意を消費された結果、自分も磯辺の好意を消費したのだ。負の循環だ。
というか、小梅は三崎先輩のなにがいいんだ?顔?
釈然としない。が、まあまあ。これも流す。
磯辺は、兄を消費されて失った少年だ。
この物語にはあちこちが暴力で満ちている。
磯辺だけはそのことに自覚的で、小梅の幼馴染を煽って殴らせている時も殴られるままにしていた。
なあ、俺はおまえの好きな女とセックスしてるよ。そう言わんばかりの挑発はしかし、好きな女の子が兄を消費した奴らのように自分を消費してくる苦しさの発露だったのかもしれない。
消費されるばかりだった彼は、三崎を襲撃する。小梅がまた性的暴行を受けそうになったためか、兄をいじめたのが彼だと思っていたからなのか、そのあたりについては決定的なものはない。ただすべての暴力の根源として彼を排除するために三崎を襲った。
それは磯辺がはじめて行った、罪悪感も何もない、達成感を得るためだけの真の意味での消費だった。
うみべの女の子は、SDカードの中にいた彼女ではなく、小梅だ。
彼女を、兄を、自分を行き詰まりに追いやって消波ブロックで泡にしていたものを排除して、磯辺は去った。
磯にとどまっていた彼女はもっとおおきな海へと飛び込んでいく。
好きな女の子を解放するとかヒーローじゃん、磯辺。
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