CharlieZG

エンドロールのつづきのCharlieZGのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
3.5
ナリン監督の少年時代を描いた自伝。
インド版 “ニュー・シネマ・パラダイス” との呼び声が高いが、映画にのめり込む様子が丁寧に描かれていて全編少年時代で終わり本家とは違う。

光そのものに関心を持ち自分なりに映写機を作製する辺りが詳しく描かれ、特に技術的な試行錯誤は観ていて興味深かった。
マッチ箱を使って即興でストーリーを作ってしまうのは才能、そして音の付け方とか可愛らしいけど多人数をまとめることこそ映画制作、その天賦の才は既に顔を覗かせていたという事か、素晴らしい。

バイクのハンドルを持たせ口でブーブー言わせ、葉枝を持った子供が両脇を走り、風で服をなびかせ、ダンボールを長方形にカットした穴から覗かせると見事にバイクに乗って走っているように見えるところ、ファザルが言う「映画は人を騙すもの」を既に表現していて印象的だった。

サマイのお母さんが作る料理がグラジャート地方の料理を紹介する番組のようで美味しそう、パンフレットにはレシピも公開されていて、この映画のもう一つの見所。

デジタル化されて古い映写機は廃棄されスプーンへ、フィルムはチューリー(腕輪)となりやるせ無い気持ちにさせるが、着飾った女性達の色とりどりのチューリーを見て世界の映画監督の名前を列挙するラストにはナリン監督の映画愛が溢れていてグッと来た。
良かった。


監督 パン・ナリン

キャスト
バヴィン・ラバリ
バヴェーシュ・シュリマリ
リチャー・ミーナー
ディペン・ラヴァル
CharlieZG

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