Itotty

クレッシェンド 音楽の架け橋のItottyのレビュー・感想・評価

4.0
イスラエルとパレスチナの歴史は、不勉強で実はあまり存じ上げておりません。
なので、対立する二つの国の代表でオーケストラするお話と軽く受け止めてました。

でも彼らが顔を合わせた時、互いを罵り合った時、自らの家族の悲惨な過去を語る時、決して簡単に解決できない溝があることはよくわかりました。

ただやっぱりすごい、音楽のちから。
だってオーケストラに相手の国の人も来るってわかってても、それぞれオーディションを受けにきたんですから。どんなに憎みあっても音楽を奏でる時は、どんな壁も越えるんです。

そう、壁は完全に無くなることはない。
でも飛び越えることができる。乗り越えることはできる。
物語のクライマックスで行われる演奏と眼差しには、そんな彼らの決意が感じられました。


ちなみにストーリー自体はちょっと切ないところもあったり、現実はそう甘くはないよと言わんばかりのシリアス部分もあるので、それが自分には逆影響でした。そこだけ残念。


ただやっぱり音楽の良い映画は、映画館だなって、見た後に何とも言えない幸福感を得ました。
映画館に入る前に一面に広がっていた雲は、すっかりいなくなったようです。
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